江戸時代の化政文化とは

19世紀にはいると文化年間と文政年間のふたつの年号をあわせて化政文化といわれる江戸中心の文化が身分や地域を越えて全国各地に広まりました。

 

 

 出版界ではベストセラーを目指して本を企画して出版するようになります。本の内容としては町人の日常生活や遊びをおもしろおかしく描いた滑稽本が流行りました。

 

 

 1802年に刊行された十返舎一九の「東海道中膝栗毛」は弥次さん・喜多さんが伊勢参りをする道中でおこったできごとをおもしろおかしく描いています。

 

 

弥次郎兵衛は駿府の町人でしたが商売に失敗して江戸に出てきていました。喜多八は元々弥次郎兵衛の家で居候をしていました。最初の巻は二人が箱根の関所を越えたところで終わっていますが、評判がよかったので次々と巻を重ねることになりました。こののち二人は大坂で遊び、四国の金比羅を参詣し、長野の善光寺におもむくなどしてようやく江戸に戻ってきました。これは執筆が始まってから21年後のことです。

 

 

 また同じく1802年に刊行された江戸浅草出身の式亭三馬による「浮世風呂」や「浮世床」は庶民の社交場である銭湯や床屋を舞台に、会話を通して社会の様子を書きました。浮世風呂は4編あり、1編と4編は男湯を、2編と3編は女湯を舞台に書かれています。

 

 

 いっぽう人情本は恋愛を題材にした小説ですが、風紀を乱すとして幕府に目をつけられました。たとえば式亭三馬の弟子で江戸生まれの為永春水は「春色梅児誉美」で美男と3人の女性との恋をえがき、女性のあいだで評判となりましたが、みだらな内容だという理由で春水は50日のあいだ手に鎖をはめられる刑を受けました。

 

 

 大坂の商家の養子だった上田秋成は日本や中国の古典をもとにした短編の怪異物語である「雨月物語」を著しました。 また、下級武士の家に生まれた曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」は中国の長編小説「水滸伝」をモデルにした98巻の大作で、1814年から28年がかりで刊行されました。これは里見家再興のためにたたかう8人の若者の活躍をえがいた物語です。この物語を執筆しているあいだに馬琴は失明してしまいますが、亡き長男の嫁が馬琴のことばを聞き取り、書き起こすかたちで原稿が完成しました。有名作家となった馬琴は原稿料だけで生活することができた日本で最初の作家と言われています。

 

 

 これら江戸文学がさかんになった背景には貸本屋が増加したことや寺子屋が広まったこと、より広く人々にあいだに文字文化が広がったことなどがありました。

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