江戸時代の出版、川柳、狂歌

江戸中期ごろから末期にかけては色々と本が出版されました。
黄表紙は表紙が黄色で1冊が10ページほどの絵入りの小説でした。代表作には、もと駿河国小島藩士の恋川春町の「金々先生栄花夢」があります。これは田舎から出てきた金村屋金兵衛が金持ちの商人の養子になって遊びまわったものの、それが夢だったという話です。このころの若者の生活や遊びをいきいきと描いたことから人気になりました。

 

 

 短編小説で庶民の生活のおもしろさを題材にした洒落本もありました。代表作として江戸深川の質屋にうまれた山東京伝の「通言総籬」があります。知ったかぶりをする主人公の男が吉原で遊女にあしらわれるようすをえがいたものです。

 

 

 子どもむけには朱色の表紙に挿絵と短いひらがなの文章をつけた絵本がありました。これを赤本といいます。「桃太郎」「猿かに合戦」「舌切り雀」などは赤本によって人々の間で知られるようになりました。

 

 

 このころは本の値段が高かったために安い代金で本を貸す貸本屋がはやりました。大坂で300軒、江戸では800軒ほどあったと言われています。

 

 

 18世紀なかごろには川柳も流行しました。川柳は5・7・5の17音におもしろさや社会の様子や皮肉を盛り込んで詠むものです。江戸浅草に生まれた柄井川柳からその名がついたといわれています。1765年には「誹風柳多留」を刊行しました。

 

 

 「侍が 来ては買ってく 高楊枝」は「武士は食わねど高楊枝」をもとにした句です。貧しい武士たちが食事をしていないのに満腹のふりをするために楊枝を買っている様子をひやかして詠んだものです。

 

 

 いっぽう狂歌は5・7・5・7・7の31音に川柳と同じように、おもしろさや社会の様子、皮肉を盛り込んだもので代表的な狂歌師として大田南畝や宿屋飯盛がいます。彼らは武士や町人という身分の違いをこえて各地であつまり狂歌会を開いたり、狂歌集をだしたりしました。

 

 

 宿屋飯盛は「歌詠みは 下手こそよけれ 天地の 動き出して たまるものかは」と詠んでいます。これは鎌倉時代につくられた新古今和歌集のなかに「歌には天地を動かす力がある」という内容の歌がでてくることにかけて、天地が動いてはたまらないので歌詠みは下手なほうがよい、とうたっているのです。

 

 

 このように川柳や狂歌は古い文学作品の知識や、実際の社会で起きた様々な出来事をもとにこれらの意味を変えたり皮肉ったりして詠まれました。町人のなかにはこうした奥深い内容を持つ川柳や狂歌を理解して楽しむことができる人も多くいたのです。

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