江戸時代の藩政改革とすぐれた藩主(名君)

18世紀の田沼意次から松平定信の時代にかけて全国の各藩でも財政のたてなおしと領地の支配体制を強めることを目指し、藩政改革が行われました。

 

 

 この時期、幕府と同じように各藩の財政も苦しくなっていました。開発できる土地はすべて開発し、年貢による収入はこれ以上増えない状態になっていました。しかし、元禄年間以降、藩士たちの生活が豊かになり、ぜいたくを好むようになったことなどから支出が増えていたのです。相次いで起こった災害や飢饉、年貢の引き下げをもとめる一揆も各藩の財政を悪化させることになりました。江戸中期の藩政改革は、こうした状況に対応するために行われたのです。各藩では、改革を主導するすぐれた藩主が登場し、「名君」と呼ばれました。この時期の名君は藩の優秀な官僚の力を借りて改革を実行しました。米沢藩上杉鷹山や、その官僚である竹俣当綱などが有名です。

 

 

 江戸中期の藩政改革はもちろん他の藩でもおこなわれました。各地で「名君」やすぐれた官僚があらわれたのです。

 

 

 それらの特徴として、まず農村の立て直しを図ったことがあげられます。このころ農村では農業では生活できないために土地を売る貧しい農民と、そうした土地を買い集める豪農との格差がうまれていました。土地を手放した貧しい農民の多くは村を離れ、都市で働くなどしたため村は荒れ果てていきました。藩の財政は農民からの年貢、つまり米を基本としていたので農村を立て直すことは各藩共通の課題になっていたのです。

 

 

 また、藩が主導して領内に産業をおこし、生産された特産品を藩がすべて買い上げて領外に売る「専売制」によって藩が利益を独占しようとしたことも特徴のひとつです。

 

 

 さらに藩校を設立したことも見逃せません。出羽国米沢藩の興譲館をはじめ、出雲国松江藩の文明館、仙台藩の養賢堂、薩摩藩の造士館など、この時期、各地で藩校が設立されました。これらの藩校は優秀な藩の官僚を育てるとともに農民や町人などを含む領内全体大塩平八郎の乱の文化・教育の水準を上げる拠点として重要な役割を果たしたのです。

 

 

 このように江戸中期の藩政改革は商業が発展するなか、藩主と藩の官僚たちが協力し、藩の体制や財政をたてなおそうとするものでした。このとき各藩は農業に関する政策だけでなく、流通・金融・産業・教育など様々な分野で政策を実行したことも重要です。

 

 これらの藩政改革は吉宗や田沼、松平定信たち幕府の政治と同じような性格を持っていたのです。

 

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